それも、必要だった道
ここ数か月、新たに人と出会う機会が増えてきた。
それも、どこか自分と似ている人たち
言ってみれば・・・
高い空目指して飛ぼうとしている人たち
若い頃、空ばかり見ていた。
地べたの世界は息苦しくて、
自分の住むところはないような気がした。
楽になりたくて、ひたすら彷徨った。
糸の切れた風船みたいに。
求めるものがありそうなところには片っ端から行ったし、
いろんなことをやってみた。
自分が属するべき世界はどこにあるのか、
居場所を探していた。
自分と似たような人たちにもいっぱい出会ったけど、
でも何かが違う。
どこかが違う。
そして、さんざん彷徨った挙句、悟った。
属せる場所なんか、どこにもないってこと・・・
そして、こう思った。
これからは、風のように生きよう。
どこにも属さない けれど
どことも繋がっている どこにも触れることができる
そんな、風のように生きよう。
そうしたら、今のダンナさんに出会った。
よもや、こういう人と結婚するとは思いもよらなったタイプの人。
スピリチュアルのスの字もない。
空なんか見上げることもない、地べたの住人(笑)
話し込むほどの共通の話題もなかった。
それなのにつき合い始めてすぐに、こう言われた。
「自分(関西弁で"あなた"のこと)とやったら一緒になってもいいと思う」
私はびっくりして、答えた。
「なに考えてんのん!? 私のなにも知らんくせに」
そうしたら、いともあっさりと彼は言い切った。
「そんなん関係ないで」
気持ちいいくらいの即答だった。
そのとき、思った。
きっと彼のほうが正しいのだろう、と。
彼はシンプルだった。
自分以外の誰にもなろうとしなかったし、
どこかに行こうともしなかった。
それまで私は "枠から出られない" ことを
"普通" と呼ぶのだと思っていたが、
"ただただあたりまえ"の普通というものが
あるのだと知って、新鮮な感動を覚えた。
それはなんだか、
どこかの先住民族とか、アボリジニなんかが持つ
シンプルな知恵を想起させた。
彼は気持ちいいくらい何も持っていない人だった。
財産といっては、500CCのバイクくらい。
理屈もなければ妙なプライドもない。
単純で竹を割ったような性格。
やや難点は、気が短くて血の気が多いこと。
そして、私になくて彼にある最たるもの
それは、
どこででも生きていける力
もし、どこかで遭難したり、天変地異に遭遇しても、
一緒にいれば助かりそうな気がした。
そんな、一生起こるかどうかもわからない、
極限の状況を判断基準にしているところが、
自分らしくて笑った。
そして、結婚した。
空ばかり飛んでいた私は、
初めて地面の上に降りてきた。
地上では様々な出来事が私を迎えた。
彼の会社の倒産
仕事に恵まれない時期
癌の罹患と入退院
それでまた失う職
子供の障害や病院通い
保育所や学校の役員活動
パート勤め
etc etc
ひたすら地べたを這うような日々・・・
自分を見つめたり、空を見上げたりする暇はなかった。
ただ、生きている実感はあった。
「なんのために生きているのか」
という若い頃の問いは、もう頭に浮かぶことすらなくなった。
そのかわりに、
「死ぬわけにはいかない」
「倒れるわけにはいかない」
そんな想いが、私を支えた。
『 よしんば親が 「少々難あり」 だとしても、
子供を取り巻く世界が共同体感覚にあふれていれば
必ずや子供はまともに育つ 』
『 子供は親だけが育てるものではなく、
社会という共同体が育てるもの』
それが、自分自身の体験と
今まで出会ってきた世界から
私が受け取ったメッセージであり、
私なりの信念だった。
だから、子供たちが保育所から高校に至るまで、
毎年なんらかの役員や活動をしていた。
それは、子供たちがこの世界がいい所だと思えるように、
よりどころをたくさん持てるように、
育ててやりたいと思ったからだ。
それがうまくいったのかどうかはわからない。
気が付けば、あっという間に過ぎた20年、
でも、いつもそのことを一番に考えて
やりたいことをやってきた気がする。
そして、そのステージもそろそろ終わりつつある。
また私は空を見上げ始めた。
やり残していたことを思い出したかのように。
また、空を飛びたいと思い始めた。
でも、今度空を飛ぶときは、
ちゃんと地べたの基地にもどってくるよ。
行ったきりにはならない。
空と大地が融合するところに、
いのちはあるのだから。
きっとすべてが、必要だった道。

2006/10/29 マロン
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